理屈抜きの恋
焦るように身を乗り出してきた最上くんから少しだけ身を引くと、最上くんはさらに距離を縮めようとした。
それを怖いと思った時、先輩が声を張り上げた。

「最上くんは撫子のことを考えていないのよ!撫子を自分のものにしたい、ただそれだけなのよ!」

座ったまま見上げる先輩の顔は涙でぐちゃぐちゃだ。
でも、最上くんをしっかり見つめている。
その表情は最上くんに分かって貰いたいという強い想いが溢れていて、心が打たれた。
涙で先輩の顔が霞む。

「何言っているんだよ!?俺は撫子のことだけ考えている!そんなこと先輩だって知っているだろっ!?」

「じゃあ、撫子の幸せを考えたことあるの?考えていないでしょ?考えていたならこんなことしないわ。」

「こんな…ってなんだよ?」

「今の最上くんの姿を見て撫子が笑顔になれると思うの?もしそう思ってしているのなら大間違いよ。撫子の心を痛め付けて同情を引くだけだわ。」

「嘘だ。だって現に撫子の気持ちは揺れたじゃないか!そうだろ?撫子?」

確かに揺れた。
ついさっきそのことを最上くんに伝えた。
でも、違う。
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