理屈抜きの恋
「皆さん、そろそろ時間ですー!埋まってない人は早く埋めてこちらに注目ー!これから新郎新婦が名前を発表していきますので、ビンゴの要領で皆さん消して下さいねー!」

ざわついていた会場が徐々に静かになる。
上位10人には豪華賞品があるって言っていたから、当然か。

「始まったな。」

「うん。賞品は何だろうね?」

テーマパークのペアチケット?
それとも旅行券?
あそこに見えるのは電化製品っぽい。

「なぁ、撫子。」

「ん?」

あ、あれは有名店のチョコレート。
ボーナスが出た時のご褒美として買っているチョコレートが景品として陳列されている。普段、自分で買うには高いから、あれはぜひとも欲しい。

「もし俺の名前が呼ばれたら…」

景品に心と視線を奪われていた間に、私の背に合わせて屈んだ最上くんがコソッと耳元で話し掛けてきた。

「このあと二人で抜け出さないか?」

耳が性感帯な訳ではないと思う。
経験がないから分からないだけなのかもしれないけど、耳に息が掛かったことで、その部分が異様に熱くなってしまった。
恥ずかしくて耳に手を当てると、最上くんはさらに距離を詰めてきた。
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