理屈抜きの恋
「お気遣い、ありがとうございます。」

「気遣いじゃねーよ。今日はいつもと違ってすげー綺麗じゃん。」

そんな風に言われると嬉しい反面、複雑な気持ちになる。
いつもはどうなんだ、と思ってしまうのはひねくれ者の証拠だろうか。

「普段もスカート履けばいいのに。」

仕事におしゃれをしていく必要性を感じていない私は、基本パンツスーツを着用している。
私生活でもスカートはめったに履かない。
ワンピースを着るのなんて、いつ振りだろう。

「撫子は8人揃った?」

「うん。最上くんは?」

「俺の所にはいくらでも人が寄ってくるからね。あんなのすぐに終わるよ。」

モテる男の特権ってやつらしい。
こんなことを言っても嫌味に聞こえないからすごい。
普通なら何様だよ、と思ってしまうのがオチなのに。

「最上くんも食事を摂りに?」

「いや。俺はさっき食べたよ。それよりそろそろ始まりそうだから、それ、早く食べちゃえよ。」

それ、と言われた残りの伊勢海老を頬張り、お皿をテーブルに置いた時、司会者の声が会場内に響いた。

< 25 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop