理屈抜きの恋
「あれ?最上くん、どこに行ったんだろう?」

ゲームが終わり、余興、挙式のビデオ放映と続き、新郎から新婦への手紙が読まれ、会場内が感動に包まれた所でフィナーレを迎えた。
扉の前でゲストを見送る新郎新婦に挨拶をしてから引き出物を受け取り、トイレでメイクを直して、最上くんと約束した場所に到着したのだけれども、肝心の最上くんがいない。

「場所、間違えているのかな。」

パーティー終了から少し時間を置いて、披露宴が行われた会場から2つ上の階のエレベーターホールで待っていてくれ、と言っていたはず。

誰かに見られないように、と気を使ってくれたからこんなまどろっこしい待ち合わせになったのだけど、それにしても遅い。

広い建物だから反対側にもエレベーターホールがあるのか、それともやっぱりからかわれただけか。
最上くんに限ってそんなことはないと思うけど、握りしめている携帯に今の所、着信はない。

電話しても出ない。

「何かあったのかな?」

ライトダウンする携帯の画面とともに不安で沈みそうになる気持ちをなんとか奮い立たせるべく、その場を移動する。
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