理屈抜きの恋
その隙に離れようと試みる。
でも、携帯を持つ手と反対の腕で肩をしっかり抱きしめられたら結局、身動きは取れなくなってしまった。

「ちょっと、離して下さい!」

「嫌だ。」

「嫌だって…」

そう言って見上げると、本宮涼は私を見下ろし、恐ろしく妖艶な瞳を寄越した。

その瞳にドクンと跳ねた心臓は、止まってしまうかと本気で心配したほどの衝撃を受けた。

「お礼内容は…そうだな。」

「お、お、お金、ですか?それとも身体?!」

どちらも大したものは持ち合わせていないと言ったはずけど…。

「身体はいずれ頂くとして…」

「いずれ?!」

「まずはその唇を貰おうか。」



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