理屈抜きの恋
「それは君にも言えることだ。最近、ゴルフボール使っているだろ?」

動き回ると浮腫みやすい私の足はすぐにパンパンになってしまう。

それを解消するのにゴルフボールは最適なのだけど、見られていたのかと思ったら少し、いやだいぶ恥ずかしくて俯くしかない。

するとマスク越しに頬を触られた。

「君に休まれたら困る。」

その優しい声質と言い方に胸がドクンと跳ねる。
見上げて視線が合えば、もうその視線からは逸らせない。
ずっとお互いに忙しくてこんな風に接触することはなかったから忘れていたけど、この人の瞳は人を引きつけて離さないんだった。

柔らかく微笑まれたら鼓動が加速度的に早く打ち付ける。

「明後日のパーティー、キャンセルしておこうか?」

明後日は懇意にしている会社の創立50周年の式典。
1か月以上前から決まっていた予定をキャンセルなんてとんでもない。

「大丈夫です。鼻声でもちゃんと出席します。」

「無理するなよ。君に倒れられたら今の俺は機能しなくなってしまうんだから。」

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