理屈抜きの恋
こういう機会がなければ他部署の最上くんと話すことが出来ないのだからここぞとばかりにアピールしたいのだろう。
今まではめんどくさくて断ってきたけど、この場でやり過ごすのは何か違う気がして、細井さんの背中を押し、最上くんに紹介する。

「最上くん、こちら細井玲那さん。総務部の後輩。」

「はじめまして。細井玲那ですっ。最上さん、ほんと、かっこいいですよねぇ。仕事も出来るし、ずっと憧れていましたぁ。」

やはりこの子は相手の気分を良くさせるのが得意だ。
男性相手に面と向かって『かっこいい』とか『憧れていました』なんて私は言ったことがない。
ちなみにこれから先、言える自信もない。

「細井さんのことは知っているよ。撫子の話によく登場するから。」

知っていてくれたという事実がよほどうれしかったのか、細井さんの表情がぱあっと明るくなった。
めまぐるしく変わる豊かな表情は、見ていて飽きない。

それは最上くんも同じだったようで、細井さんを見て笑った最上くんの極上の笑顔に細井さんのハートは射抜かれた。

自分から紹介してくれ、と言っておきながら、恥ずかしくなった細井さんは真っ赤になった顔を押さえて私の背後に隠れる。

その仕草もまた可愛い。
そして、そんな可愛い仕草をさせた最上くんの威力は今日もすごい。
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