課長と私

「仕事に集中できてないな。」


ランチから帰って来てからもぼんやりは抜けず1人で休憩室に来た。
いつまでもここにいる訳にはいかないが、少しだけ。


「…うるさい。」

「心配してやってんの。体調不良だったら帰れよ。」

「……ありがと。」

「何か悩み事か?」

「悩み……うーん…」


彼がかまってくれないこと?
もしかしたら婚約破棄なこと?
家族にあいさつ行こうって言ってたのに?
私に女性としての魅力が無くなっちゃったこと?

原因は…どれだろ。


「男のことか?」

「……」

「だから…俺にしとけばいいのに」

「…何言ってんのばか」

「…まだ、間にあう…けど」


後半はもごもごと歯切れが悪い。


「おい、仕事中に口説くなよ…藤原。」

「えっ…あ、課長…」


隣にいた藤原がひどく焦っている。
一礼して先に部屋に戻っていく。


「藤原にまだ言ってないんだ。」

「タイミングを…逃し過ぎていまして…」

「そうだね。言わないとね会社にも。」

「そ…ですね?」

「何それ。言いたくないの?」

「いえいえ…き、緊張しますね!」

「もうちょっとだけ待ってて。いまやってる仕事落ち着いたら言う。」

「あ、はい。大丈夫です。…お仕事、大変そうですね…今、休憩ですか?」
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