課長と私

「あ、ごめんなさい。…止まらなくなってしまって…」

「…あとは?」

「んー…あとは、意外と胸板があるところとか?」


彼に近づいてそっと触れてみる。

あぁ。やっぱり胸板が厚い。一体いつ鍛えてるんだろう。


「首筋も好きです。この辺。」


優しくなぞる。
あ、そういえば。


「あ、私も先輩の匂い好きです。ボディソープ同じもの使ってるのに、おかしいですよね。」


確かめようと、首のあたりに顔を近づけてみる。


「楓ちゃん、積極的だなぁ。」

「おっ…と、ちょっと待ってください…わざとじゃないんです。ごめんなさい。離してください。」


長い腕に捕まってしまった。
すっぽりと体が埋まってしまい、出られない。


「いや」

「いやじゃなくて…もお、ダメですって…」

「俺も楓ちゃんの好きなところまだあるよ?」

「へ?」

「えっちしてるとき、俺のこと呼び捨てで呼んでくれるところとか。」


わざと耳の近くで話しかけてくる。


「気持ちいいと、恥ずかしながらすごい甘えてくるところとか」

「ディープキスするとき、うまく息できないところとか」

「気持ちいいのに最初は声我慢しちゃうところとか」


だめだ。こんなの聞いてたら恥ずかしくて死ぬ。


「も…もうやめてください…。た、耐えられません……。」


彼の腕の中で両手で顔を隠す。
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