囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


七月半ばのボーナス時期で忙しい今の季節。
そんな時になんで……とも思ったけれど、いつもはこの時期ではなく秋口に行われているらしい。

それがなんでこの時期に変更されたかと言えば、この体育館が九月から補強工事に入ってしまって使えなくなるから、というのが理由だった。

場所がないなら前倒ししてまで行わなくても……と思ってしまうのは、まぁ本音ではあるものの、入部者にとっては失礼にあたるだろうから口にはしない。

花岡さんを見る限り、卓球部に入っていたところで練習なんてしていなそうなのに。
意外と陰で努力していたのかな……と一瞬思ったものの。

きゃっきゃと花でも飛んできそうな遊び感覚の試合内容を見て、ああ、こういう感じか……と応援にきた事を激しく後悔した。
それと同時に、時期をずらしてまで行う必要が本当にあったのかと、ふたたび疑問に思う。

応援も、もちろん……と言っては失礼だけど、来たくて来たわけではない。

花岡さんが出場して準決勝までいったわけだし、誰かしら支店からも応援がないとマズイだろうって判断した支店長からの指令だ。

誰に来てほしいかと聞く支店長に、花岡さんは言うまでもなく、及川に〝応援、来てくれますよね〟と語尾にハートマークをつけて誘っていて。
それを見た支店長が、じゃあ及川よろしくな、ってなって。

ひとりで見たってつまらないし付き合ってよ、という及川に、嫌だと言ったのにほぼ強制的に連れてこられたのが、ここまでの経緯だった。


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