囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
明日の朝一処理ってことは、午前中の営業に出るまでに、つまりは九時までに現物を用意しておいて欲しいって意味だ。
「うん」と、受け取った伝票の余白に「朝一」と鉛筆で書いてから、明日の処理箱に入れる。
「深月、このあと、暇?」
「え、だって今日って同期で飲むって言ってなかった?」
結局色々あって彼女に振られてしまった小田くんを慰める会……みたいな感じで飲み会を開くって聞いたのは確か、花岡さんの卓球試合を見に行った時だ。
今日だったと思うけど違ったのかな、と思いながら見上げる。
すると、及川は「だって面倒くさいかなって」と平気で言うから、呆れて笑う。
「面倒くさいって」
「いや、みんな言わないだけで思ってるだろ」
なんとも図星な言葉を言われて、まぁそれもそうだろうけど、と思い苦笑いを浮かべていると「だから」と、私のデスクに片手をついた及川が続ける。
「うち寄らない?」
本当は、まぁ小田くんには悪いけど、別に行かなくてもいいかなとは思ってた。
どうせ同期会は月に一度あるし、次の時に参加すればそれでって。
だから、及川がご飯行こうとか言うなら、そうしようかなと思っていたけれど。
『うち寄らない?』の言葉に、急きょ答えを変える。
自分の事情とは言え、急なUターンを余儀なくされて少し焦る。