囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


標高が高いからか、いつも迎える朝よりも少し涼しくて気持ちがいい。
ふわりと吹く風が髪を揺らす中、石階段をひとり、知らない人が上っていく。

その人が前を過ぎて少し経ってから、ゆっくりと口を開いた。

「その辺、確かに真面目だよ。普通だったら、及川が言うように、簡単には信じられないと思うし時間だって必要だと思う」

そう話してから、「でも」と続けた。

「私が揺れると及川が傷ついた顔するから、もうやめたの。及川がそんな顔するくらいなら、自分が傷ついた方がよっぽどマシだと思って」

隣を見ながら笑うと、わずかに見開かれた瞳と目が合う。

「及川もさっき言ってた事だけど。確かに他の子への態度はひどかったけど、私に対しての及川はひどくなかったから……いつも、優しかったから。
そっちを信じる事にした」

微笑んで「だから、花岡さんにちょっとくらいいじられても平気」と言ってから、視線を目の前に広がる景色に移す。

石階段の手すりの向こうには広い緑が広がっていて、ゴルフ場も見え、その上には秋空と言えるくらいに高い空が広がっていた。

「〝保護欲が強くてボロボロになってまで大事な人を守ろうとする〟って、前、花岡さんに言われたけど……その通りかも」

そう言って苦笑いを浮かべていると。
しばらくしてようやく及川も笑って言う。


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