その唇に魔法をかけて、
「どうぞ、よろしくお願いします。なにかありましたらなんなりと申し付けくださいませ」

「うんうん、いいねぇ、若くて可愛いし。去年私についた……あ~名前なんだったか、忘れたがこれが生意気でねぇ、ちっとも面白くなかったんだよ。しかし、今夜はうまい酒が飲めそうで楽しみだ。わっはは」

 まるで昔の時代劇に出てくる悪代官のような口ぶりと笑い方に美貴の顔が引きつった。

(きっと大丈夫……)

「お夕食は大広間にてご用意いたします。準備が整いましたらお呼びに参りますので、今しばらくお待ちくださいませ」

「あぁ、腹が減ったしな、早めに頼むよ」

「かしこまりました」

 粗相のないよう丁寧にそう言い残して部屋を後にすると、美貴は急いで厨房へ向かった。

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