大っ嫌いだ、ばかやろう!-最強ヤンキーの不器用な溺愛-
それがまさかーーー




「おい、鞠奈!! 出て来いやぁ!!」




………こんなことになるなんて。



うちのクラスの後ろのドアから顔を覗かせ、どすのきいた大声で繰り返し「出て来いや!」とあたしを呼んでいるのは、

もちろん髙田延彦ではない。




10年前のガキ大将、現在の超絶ヤンキー………赤川龍生(アカガワ リュウセイ)だ。




眩しいほどの真っ赤な髪が、目立ちすぎるほど目立っている。



『眠れる赤龍』のトレード・マークである赤髪を見た瞬間、生徒たちは恐れをなして道を開け、

龍生はいつでも悠々とあたしの教室に現れる。



………毎日。


毎昼休み。


そして、毎放課後。




「鞠奈! おせーぞ!

ちんたらしてたら置いてくぞ!?」




偉そうに言う龍生に、むかっときて言い返す。




「どうぞ置いてってください。

あたしは別に連れていってほしくありませんから!」





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