催涙雨。



不安だらけだったけど

瑠奈と再会し、次第に友達も増え

まぁ、うん、充実した日々を

送っていた。



当たり前すぎて気づかなかったんだ。

今がどれだけ幸せか。



悲劇は突然に起きた。



中1の冬、あの海に星夜と行った

帰りのこと。


雨の日だった。


飲酒運転のトラックに

轢かれそうになった私を庇って、

星夜が亡くなった。



「最後に守れてよかった」


この言葉を残して。




何度謝っても許されないこと。

どれだけ願っても帰ってこないこと。


わかってる。わかってるけど


「ごめんなさい。私の命をあげるから

星夜を返して」



そう、ずっと泣き叫んでいた。




ベチンッ


病院に響きわたる乾いた音。



「ばかっ…!!あなただけでも無事で

私たちがどんなに嬉しかった事か…」



涙を目に貯めながら

私に必死に伝えてくれる百合さん。



その瞳を見て

嘘を言っていないってことが

嫌でもわかった。



それでも私は自分を責め続ける。



辛いことがあったとき

星夜の元に行きたくて

自殺だって図ったときもあった。



でも、弱い私は


「あの子が守った貴女を殺さないで」


「麗も私たちの大事な家族なのよ?」


「星夜の分まで、生きなさい」


百合さんの言葉が

頭から離れなくて、死ねないんだ。




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