恋した責任、取ってください。
なかなか起き上がれない佐藤さんに気づいた審判が試合を止める。
会場全体が一気にざわつきはじめる中、コート内の選手やコーチ、審判などが駆け寄り、けがの有無を確認しはじめる。
佐藤さんの周りに人だかりができ、ここからではその肝心の佐藤さんの姿が確認できない私は、弥生とともに肝を冷やしながら無事を祈ることしかできなかった。
やがて救護班が担架を担いで現れると会場はますますざわつきを増し、反対に弥生の顔が蒼白になっていった。
この場から一歩も動けない様子で、ただただ担架に乗せられて運ばれていく佐藤さんを呆然と見送るだけだ。
「私、佐藤さんの様子見に行ってくる。何かわかったら連絡するから、弥生はここで待ってて」
「……う、うん」
かろうじて返事をした弥生に背を向け、上着と鞄を掴んで二階席の通路を出口に向かって駆ける。
会場を出る間際、佐藤さんの代わりに黒井さんがコートに送り込まれる旨のアナウンスが響き、一瞬、子供向けバスケット教室のコーチを決める際に最後までシュートが決まらなかったことが思い出された私は、佐藤さんの思いがけない離脱と試合に出る緊張で間違いなく不安や動揺を感じているだろう黒井さんに、心の中で〝ガンバです!〟とエールを送った。
*
「……佐藤さん、お加減どうですか? どこか痛いところとか、ないですか?」
「いえ、軽い脳震とうだそうですし、幸い、特にけがもないので、しばらく横になっていれば大丈夫みたいです。念のため、あとで病院で検査をすることにはなりましたけど、問題ないだろうって救護の人に言われてます」
「そ、そうでしたか……。よかった……」
救護室に駆け込むと、簡易ベッドに横になった佐藤さんのほかに中には誰もおらず、佐藤さん本人から直接容態を聞くことになった。