恋した責任、取ってください。
「あとね、あとね――ジャーン!」
「おおおおお……!」
「僕、この人が一番好き! お母さんが最近、顔つきがめちゃくちゃ格好良くなったって言ってるんだ。僕はその前から好きだったから、お母さんにもようやく格好良さがわかってもらえてほっとしてるとこ!」
それから悠斗くんがコートの前を勢いよく開けて見せてくれたのは、子供用サイズのレプリカユニホームで。
胸の下の【7】の番号とローマ字表記の【DAICHI】の名前が同時に目に飛び込み、一瞬にして目の奥が熱くなった。
「そっかぁ。大地さん、絶対喜ぶよ」
「うん! 今日もめっちゃ応援するんだ! 僕、大地みたいな選手になりたいから!」
そう言う悠斗くんの頭を、わしゃわしゃと声にならずに盛大に撫で回す。
……ああ、大地さん。
前に大地さんは、バスケを続けてきた理由を、葛城さんへの謝罪と恨んでほしい気持ちからと、バスケが好きでチームのみんなが誇りだからと言っていましたけど、それだけじゃありませんでした。
もうちゃんと、悠斗くんみたいにバスケを志す子供たちの目指す先になっていて、これからバスケに出会う子供たちが憧れるだろう選手になっているんですよ。
苦しくてどうしようもなくてもバスケを続けてきたご褒美がここにありましたね。
胸の奥の熱さとともに、ますます目の縁に涙が溜まって、もうどうしようもない。
「悠斗くん、ありがとうね……」
「え、なんでなっちゃんが泣くんだよ?」
「ごめんね、悠斗くんがあんまり可愛いことを言うから感極まっちゃって。年々、涙もろくなって、こういうのもうダメなんだよ、私」
笑いながら目の縁の涙を眼鏡の下から拭い取ると、悠斗くんが、ちょいちょいと私を手招きした。
なんだろうと思いながら身を屈めれば、私の頭に小さな、でも確かに力強い手が優しく乗せられる。