恋した責任、取ってください。
「よしよし」
「……ふははっ、ありがとう」
すると、そのまま撫でられ、不覚にもキュンとしてしまう。
小さな手のぎこちなさに頭を委ねながら彼の足下に目を移してみれば、どうやら私の屈み方が足りなかったようで、ちょっとつま先立ちまでしていて、またまた胸キュンだ。
ああもう、なんて可愛いんだ悠斗くんは。
うっかり惚れてしまいそうだ……。
そうして、ワクワクしっぱなしの悠斗くんと試合開始を待っていると、いよいよ選手入場という間際、弥生が会場に駆け込んできた。
昨日、部屋に帰ったときに大地さんから連絡があったことを伝えると「明日の試合、絶対観に行く!」と言っていたので、いろいろと都合をつけて来てくれたらしい。
弥生が家族席にいる私を見つけるとほぼ同時に会場が一時暗くなり、色とりどりのスッポットライトが方々から無人のコートを照らす。
派手な音楽とともにアナウンスが流れ、両ゴールサイドの上に設置されている巨大モニターに、まずはブルスタの面々の顔写真が映し出された。
高浜さん、ルイネエに続いてコールされたのは大地さんだ。
コートを囲むように設営された観客席をぐるりと見渡しながら手を上げて声援に応える大地さんの顔は、今まで見てきたどの試合の大地さんより落ち着いていて、遠目からでもその精悍な顔つきがよくわかる。
その後、ザキさん、佐藤さんがコールされ、最後に監督と御手洗コーチが紹介される。
続いてホーネットの選手、監督、コーチが紹介されると、照明が明るく戻され、試合開始の笛を待つのみとなった。
すると大地さんが主審の横に立ち、ホーネットコートを俯瞰した。
「あれ、今日は大地がジャンプボールするの? 今までなかったよね、珍しい」
「うん、そうだね。ほんと、珍しい……」