恋した責任、取ってください。
 
子供何人欲しいですか?

いくらでも産みます。

頭の中ではすでに新婚ホヤホヤで、新婚初夜のベッドの上で子供をこさえる相談中だ。

けれどこれも、私の中でだけの都合のいい妄想に留め、けして口には出さない。

だって嫌われたら困るもの、初恋大事。


「バスケの教本持ってるし、ブルスタ関係の子なんじゃないか? 俺はプレイヤーだから会社の組織のことはよく分かんないけど、今日から配属になりました、みたいな」

「……そういえば、今日から来る子がいるわね」

「だろ?」


そんな中、岬さんは勝手に旦那様にされているとも露知らず、相変わらずニコニコと笑いながら、私の頭上でエマさんと会話を続ける。

エマさんとも軽く20cmは身長差がありそうな私には、2人の会話はまるで雲の上から聞こえてくるようで、自己紹介するには絶好のタイミングなのに、それがなかなか掴めない。

それに時間! 私、絶対遅刻してるーっ!

初日から遅刻って、どんだけ重役出勤よ!?


「で、あなた。なっちゃんはブルスタに配属になってるっていう新しい子なの? 色々ゴタゴタしててお互いに挨拶もまだだったから、顔とか名前とか、まだよく覚えていないのよね」


するとエマさんの顔がこちらに向き、岬さんに何やら意味ありげな視線を送りつつ“ごめんね”と眉をハの字にさせて私に訊ねてきた。

……あれ、全然怖くない。

さっきまでの話の内容からもエマさんは虫の居所が悪かったようだし、本来の彼女は別に怖い人でも女王様でもないのかもしれない。

そう考えを改めた私は、ようやく岬さんの体に隠れるのをやめ、エマさんの前に出た。


「申し遅れました、今日からチーム・ブルスタに配属になりました天沢夏月です。ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願い致します!」


言い終わると、ベゴンと直角90度に腰を折る。

よかった、自己紹介、噛まなかった……。
 
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