理想の恋人って!?

「土曜日の話、詳しく聞かせてよ～」

　私は「いただきます」と言ってお箸を手に取った。

「昨日の夕方、ＬＩＮＥで説明した通りだよ」

　それだけ言って親子丼を口に運ぶ。

　日曜日の夕方、美佳から『土曜の夜は晃一と一緒に過ごしているのかもって気を遣って、あえて今日連絡したのよ』とＬＩＮＥのメッセージが送られてきた。そのときに、ランチに行って映画を観たと話したのだ。でも、それ以上のことは文字で説明するにはややこしすぎるし、変に勘ぐられてもイヤなので、誠一さんの家に行ったことも、帰りに家まで送ってくれてキスされたことも、それから誘われて日曜日に練習試合を観に行ったことも話していなかった。

　美佳がぷっと頬を膨らませて言う。

「そういうことじゃなくてぇ、どうだったの、スーツ姿の晃一！　理想の恋人像とぴったりだった？」
「まあ、確かにちょっとはカッコイイと思ったけどぉ……」

　私は親子丼を箸ですくい上げて言葉を切った。美佳がテーブルの向こうから身を乗り出してくる。

「恋に落ちた？　晃一のこと、好きになった？」