結生

夏の月はじめ。

『今日も真夏日になるでしょう。
熱中症には、注意してください。』

朝から何気なくテレビをつけ見る。
それも何も変わらない日常。

いつもどうり、
ただ電子レンジが料理してくれるものを
相手がいない空席の椅子を見つめて、
食べ、食す。

食べ物がいつから美味しいと
感じなくなったんだろう。
ただ生き物だから食べるという
そんな刷り込み効果みたいな
感覚で食べるだけだった。

そして、
いつもの様にアルバイトに出かける。

僕がアルバイトしてる場所は、
某レンタルショップの店員。
映画や本に囲まれてる状況で。
働いてる。

いつも通りの時間に着き、
いつも通りに制服に着替え、
いつも通りに接客をする。
それも変わらない日常。

鳥を見る度に、
人間は、何故飛ぶことを
忘れたんだろうって思う。
もし飛べたら色々な場所に行き、
それなりに人生が変わったのかも
しれないと
いつも1人で考えていた。

傍から見ればそんな考えなんて、
馬鹿げている話でしかないだろう。

『いらっしゃいませー』

作り笑顔で接客。
それでお金をもらえるなら、
作れる笑顔。

でも、今日は違う日になった。


< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop