汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
「風子ならまだ帰ってきていないよ。そういえば少し遅いような……」
僕が廊下にかけてある時計を見上げながらそう言った瞬間、臣さんの両目からは静かに透明な雫が伝った。
「お、臣さんっ?!」
「大和……風子……風子が……」
僕の方に視線を向ける臣さん。その黒い瞳からは、絶望しか感じ取れない。
嫌な、予感がした。
嫌な予感〝しか〟、しない。
だって、あんなにも凛として情熱的な臣さんが、息子である僕の目の前で、風子の名前を口にしながら……泣いている。こんな臣さん、今までに見たことがない。
額から、首筋から、脇から……身体の様々なところから嫌な汗が吹き出し、肌の上を滑り落ちていく。いくら今が梅雨の季節で、夏が近づいているにしても、これだけの汗が吹き出すことはまずない。
しかも、大量に汗が出るわりに、身体の奥底から外側に向かってひんやりとした冷気のようなものがわきだしてきて、自分の意思とは関係なく本能では嫌な予感を察知している……ということなのだろうか。
「風子が……どうかしたの?」
発した自分の声は、思わず自分の耳を疑うくらいには弱々しく、震えていた。なんとも情けない声音だ。
──怖い。臣さんの口からその先を聞いてしまうことが、とても怖い。けれど、耳を塞いで逃げるわけにはいかない。聞きたくないけれど、しっかりと聞かなくちゃいけない。
「風子が、」
言葉を発しようとする臣さんの口の動きが、やけにスローモーションに見えた。
ああ、発されてしまう。臣さんの口から、〝嫌な予感〟の元凶を。今、まさに、この瞬間に──。
「──風子が、死んだ……っ」
絞り出すように吐き出された臣さんのその一言に、ドクン、と、心臓が大きくはねる。
僕が廊下にかけてある時計を見上げながらそう言った瞬間、臣さんの両目からは静かに透明な雫が伝った。
「お、臣さんっ?!」
「大和……風子……風子が……」
僕の方に視線を向ける臣さん。その黒い瞳からは、絶望しか感じ取れない。
嫌な、予感がした。
嫌な予感〝しか〟、しない。
だって、あんなにも凛として情熱的な臣さんが、息子である僕の目の前で、風子の名前を口にしながら……泣いている。こんな臣さん、今までに見たことがない。
額から、首筋から、脇から……身体の様々なところから嫌な汗が吹き出し、肌の上を滑り落ちていく。いくら今が梅雨の季節で、夏が近づいているにしても、これだけの汗が吹き出すことはまずない。
しかも、大量に汗が出るわりに、身体の奥底から外側に向かってひんやりとした冷気のようなものがわきだしてきて、自分の意思とは関係なく本能では嫌な予感を察知している……ということなのだろうか。
「風子が……どうかしたの?」
発した自分の声は、思わず自分の耳を疑うくらいには弱々しく、震えていた。なんとも情けない声音だ。
──怖い。臣さんの口からその先を聞いてしまうことが、とても怖い。けれど、耳を塞いで逃げるわけにはいかない。聞きたくないけれど、しっかりと聞かなくちゃいけない。
「風子が、」
言葉を発しようとする臣さんの口の動きが、やけにスローモーションに見えた。
ああ、発されてしまう。臣さんの口から、〝嫌な予感〟の元凶を。今、まさに、この瞬間に──。
「──風子が、死んだ……っ」
絞り出すように吐き出された臣さんのその一言に、ドクン、と、心臓が大きくはねる。