晴れ、のち晴れ

「…やっていいわよ」

松なんとかが、後ろに向かって言った瞬間あたしの視界を水が覆った。

腕で顔をかばうがそれでも、冷たく、痛い。水が変な方に入り、呼吸が苦しかった。

あたしがむせているのを見ると松なんとかたちはようやく気が済んだのか去っていった。

残されたあたしは、一人考える。このままの格好で教室に戻るのは流石のあたしも気が引けた。

仕方ないから下駄箱で靴だけ変えて帰ることにする。上履きもすっかり汚れていた。

惨めな姿だ。

笑えてくるほどに。

今日は葵や夢香に会えないのが残念だった。

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