Focus
何度か訪れる、写真タイムとも言うべき決めポーズも参列者を上手くやり過ごし撮らねばならない。
屋内だけでなく、オープンエアでの催しもあり光の加減を調整したり、些細な事柄であるけれど注意を払う必要がある。
いくら修正できるとしても、少ないに越したことはない。
教会として使われている一室に入るなり、花の香りが辺りを埋めた。
ステンドグラスからの光りを浴びて、一人の女性が花を生けていた。
まとめられた髪は無造作で、白いシャツに黒いカフェエプロンをしている。
背の高いガラスの花瓶に、白い花ばかり生けていた。白い花ばかりとはいえ、それぞれ色合いに変化があり柔らかな優しい雰囲気だった。
気がつけば、シャッターを切っていた。わずかな音で彼女が気づくのではないかという不安も、作業の手を止めない姿から杞憂だったとわかる。
あまりにも集中しているので、声をかけることすら憚られる。