いい加減な恋のススメ
と、
『付き合っちゃえば?』
「……」
『小田切と』
一瞬彼とだと思ってしまった私は小田切先生の名前を聞いて「えぇ!?」と驚く。
「ね、ねぇ私の話聞いてた?」
『うん、ていうか耳が痛いよね。昔から似たようなこと聞いてるし』
「……ごめん」
本当杏には沢山愚痴ってしまったけれど、その度結局考えるのを先送りにしていた気がする。話して満足してしまっていたんだ。
『泉は好かれる方の気持ちも分かった方がいいと思うから、だから付き合っちゃえばいいよ』
「そんな軽々しい考えは無理だよ!」
『真面目が!とにかく私の考えはそれだから!後は自分で判断して!自分のことでしょ!』
『ぐっ』
何とも言えない、と時計を確認するともうそろそろ日を跨ぎそうな時間であった。もしかすると杏は通話を終わりたくていきなり纏めに入ったのかと思ったが何だか悲しいので気付かない振りをした。
『でも、ちゃんと分かっておいてね。泉の答えで相手を傷付けることになっちゃうかもしれないんだから』
「……」
そう言い残すと杏は早急に「おやすみ」と言って電話を切ってしまった。
私の答えで小田切先生が傷付くかもしれない。きっとそれって返事をする方にも責任重大ってことだよね。だって傷付けてもフォローできないんだもん。
一瞬生徒に告白されていた彼の姿が頭に浮かんだ。
それがこの前のものか、それともずっと前のものかは分からないけれど。