いい加減な恋のススメ
次の日の授業は憂鬱だった。今までで1番気まずく感じる。幸澤先生はまだ私が怒っているのだろうかとなかなか近付いては来ないし、私も彼とは目も合わせなかった。
授業はいつも通りだったけれど、それでも今までになかった間のような物があるように感じた。
何故だろう、今までの喧嘩と何が違うんだろうか。
あぁ、そうだ……
「(私は彼の教師図を否定してしまったんだ)」
もしかしたら彼は彼でちゃんと生徒を見ているつもりなのかもしれない。
それをああ言ってしまったから、それは確かに今までにはなかったかもしれない。
私はそこで矛盾していることに気が付いた。
いつだっていい加減ではあるけれど彼の教育方針や授業形式、学級への対応は認めていたつもりだった。なのに何故、私は今になってそれを否定してしまったんだろう。
考えても考えても答えに辿り着かない。
「安藤さん」
放課後の廊下を歩いていると後ろからそう呼び止められた。そんな呼び方をするのはここでは1人だと思って後ろを振り返った。
「小田切先生」
「良かった、やっと捕まえられた」
「え?」
「昨日知らない内に帰っちゃってたし、それに今日あんまり見掛けなかったから」
「さ、探していたんですね……」
すみません、と頭を下げると彼が首を振った。