いい加減な恋のススメ



だからいつも彼の授業は分かりやすかったのかな。いや、こんなことどこの日本史の教師もやっているのかもしれない。
私はもっと聞いてみたいという好奇心が止められなかった。


「ほ、他には何かありますか?」

「……」


そんな私の心情が完全に読みきれたのか、幸澤先生はニヤッと口角を上げて見せた。


「何?もっと聞きたいの?」

「っ……」

「しょーがねーなぁー」

「な、ならいいですけど」


あぁ、私の悪い癖が出た。何で素直に「教えてほしい」って言えないんだろうか私は。
彼は私の言葉に「お?そう?」と意外そうだ。


「いいぜ、教えてやっても」

「もう十分です、ありがとうございました」

「意地張んなって、教えてほしいんだろ?」

「ま、まさか」


後ろへと後ずさる。本当は聞きたいけどこれはこれで何か負けた気がしてしまう。いや、ずっと負けてたけど。だけど完全敗退なんて嫌だから、後は自分で頑張って彼を見返したい。
私がそう考えているとも知らずに後ろへ下がる私に本棚に手を這わせながら近付いてくる幸澤先生。

薄暗い倉庫、外からの光で彼の影が私の顔に重なった。


「俺の部屋でじっくり1から教えてやってもいいけどな」



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