いい加減な恋のススメ
彼ははぁと息を付くと、
「お前にここ勧めた俺が悪かったと思うけど、こんなに参考書からの情報取り込んでどーすんの?」
「え?」
「結局生徒は教科書見て勉強すんだからそんなことよりも教科書の内容をもっと詳しく分かりやすく教えた方がいいんじゃない?」
と俺は思うけどね、と彼は目線にあった本の背表紙に人差し指を這わせた。長い間取られていなかったのか、指に埃が溜まって「うげっ」と顔を歪ませる。
確かに高校の授業の軸は教科書だ。教科書ほど高校生に合わせて作られているものなんてない。てっきり私は幸澤先生に参考書を使えと言われたなんて勘違いしてしまっていた。
そうだ、あれはただ参考にしろって言われただけだった。
「あと、あんまり教え方にこだわんなよ。お前が1番教えたい内容言えばいいだけだから」
「私が?でも生徒のために教えなきゃ」
「アイツらがどうやって自分も知りもしないところを知りたいって思うんだよ」
「……」
確かにそうか、こっちから知識を与えないと生徒たちは何も知らない、無知のままなんだ。
まるで目からウロコだ。そして何故だかキラキラと視界が輝いた。本当にウロコが出てしまったのだろうか。