いい加減な恋のススメ
私は持っていた紙を彼に渡す。
「んだこれ」
「か、課題」
「はぁ?早すぎんだろ」
「早く出来たから」
「……ちゃんと出来てんのか、これ」
しかし早すぎ、と彼は私の手からそれを預かる。この人は私がどれだけ早く持ってきたとしても「早いな!」って褒めてくれない。他の子だと絶対そう言うのに。私が持ってくるといつも不満げな顔をする。
嫌われ、てるんだと思う。
「また俺、お前の点数上げなきゃなんねーじゃん」
「上げてよ」
「そうそう簡単に上げられないんですよ」
そう言っている彼の視線は課題の方に向いてあり、私のことは見ていなかった。ううん、ずっと、今会ってから目が合っていない
私がもし、皆川さんだったら違うんだろうな。
「じゃあ、それだけなんで」
「おー。あぁそうだ、安藤。お前絵とか得意?」
「え?」
「修学旅行のパンフレット書いてくれるヤツ探しててさー、やってくんない?」
彼に仕事を頼まれたのは嬉しいのか、それとも面倒臭いのか。
「絵は、あんまり」
「だよな」
「だよなって」
「いやいや、ぽいなって」
「……」
もういいです!、と私はそう言って彼から離れようとする。
後ろで彼の笑い声が聞こえる。いつだって他の生徒だったらって考えてしまう。