いい加減な恋のススメ
「今のところは、どうする気もなくて」
「そっか」
「……彼の気持ちは昔から分かってるから」
彼はどう足掻いても私のことをただの元教え子としてしか見ていない。それを分かっているから伝えるのが怖いのかもしれない。
この気持ちに気が付いた時点で、何かが変わる訳じゃなかった。
「でもいいの?あと少しで実習終わるよ?」
「……」
小田切先生は心配そうな顔でそう言ってくれた。
「俺は折角だし、上手く行って欲しいけどな」
「……ですよね」
私、凄く身勝手なことをしてるって分かっている。彼のことを振っておいて何もしないなんて、そんなの小田切先生に悪すぎるから。
「何とか、文化祭までに答えを出してみます」
「うん、」
頑張って、と言ってくれた彼はどれだけいい人なんだろう。
彼の自転車を押して去っていく後ろ姿を、最後までずっと見つめていた。
吹いた風は秋の風だった。