いい加減な恋のススメ
その瞬間だった。
「それに、」
「っ!?」
彼は私の左手首を掴むと下に引っ張ってしゃがませた。
そしてスマホのシャッター音が教室に響き渡ったのと共に彼は私の頭を押さえると唇を重ねる。
押さえていた手のひらを前に滑らし、私の両頬を包んでチュッと音を鳴らし離れると、彼が目の前で意地悪く笑った。
「こういう方が何か燃えない?」
世界で1番嫌いな男の頭から何かが生えていてる。黒いその尖った物体はにょきにょきとその大きさを象徴してくる。
あぁ、悪魔だ。
「あれ、何か幸澤先生と安藤先生映ってないよ」
「あー、すみません。2人一緒に転けました」
そんな言い訳が通じると思っているのか。
私が腰が抜けたように尻餅を着いてしまっていると彼は上から私を見下ろした。
「何だよ」
んべ、と舌を出した悪魔が笑う。
悪魔の瞳が私を捕らえ、そして目だけで語る。
逃がさねぇぞと。
「(あぁ、なんていい加減な……)」
私、この人と付き合ってたら何度か卒倒しちゃうかも。
【完】


