わがままなキッス☆ 【短編】
沙織はまだ僕の隣で
メソメソしていた。


僕は開いていた本を閉じる。


『沙織。』


「ん、なぁに…」


『帰ろ。』


「えっ、あっ、うん…」


僕は鞄を持つと
空いてる方の手で
沙織の手を掴み歩き出す。


キョトンとした顔で
僕の後をついてくる沙織に
僕は真っ直ぐ前を向いたまま


『カラオケ、行くだろ。』


そう言うと
沙織の顔がみるみる
ぱあっと明るくなった。


「うん、行くっ!」


落ち込んでるときは
たいていカラオケに行けば
沙織は元気になった。


僕はカラオケなんて
普段行かないけど
沙織が元気になるなら
僕はどこにだって行ってやる。


沙織は僕のすべてだから。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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