あ い の う た <実話>
結局その日…
あたしはほとんど眠れなかった。



涼介さんは本当になにもしてこなかった。



…あたしに魅力がなかっただけかもしれないけど。





涼介さんは凄く幸せそうな顔で眠っていた。




繋いでた手をそっと離し、
あたしは帰る支度をした。




起こさないように、
そっとドアを開ける。





『…帰んの?』



その声にビクッとして、
振り返り、コクコクと頷いた。




『またな♪』
涼介さんはすごく優しい笑顔で笑った。



あたしは笑顔を返し、
涼介さんの家を出た。




帰り道、
今日あった全ての事を思い返してた。


ぜんぶ現実味がない。




現実味のない現実を引きずったまま、



あたしの現実は、
日常へと戻っていった。




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