あ い の う た <実話>

げ ん ざ い

『じゃあ端から自己紹介といきますか!』



『イェーイ♪』
目の前に座る女の子三人衆は、どの娘も可愛いし、ノリがいい。




【今日は当たりだな】
俺はタカシに目で語った。


俺の言葉を受け止めた様子のタカシは誇らしげな表情を浮かべた。



【俺に任せとけっ】
ってとこか。



『じゃあまず俺から!上北高校二年仲沢タカシ!次、尚!』

『はぁーい♪蒼谷二高二年、寺山尚で〜す。』


『最後は俺、眞壁信也。タカシと同じ上高!』



女の子たちはキャッキャと騒ぎながら自分たちの自己紹介を始めた。



盛り上がってる風な空気を作りながら、
俺たちは目で会話をする。



【俺、右!!!】
と、タカシ。

【俺も右ー!!】
と、信也。



じゃあ、俺は…
【…左か?】


【ちょっと待った】
と信也。



【やっぱ俺が左!】




【はあ?俺余りもんかよっ!?】



【いいだろ?お前はどーせ……。】
二人の目が俺を言いくるめた。




まぁ…いっか。
そうだよな。
俺は誰でもいいんだった。




ようやく俺達の相談がまとまった。


もちろんこれは全て目で語った会話。



女の子たちには一切バレてない。




気がつくと女の子たちの自己紹介はすでに終わっていた。





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