あ い の う た <実話>
気付いたら
あたしは最前列にいた。


目の前には『リョウスケ』と呼ばれているギターボーカルがいる。


歌を歌っている。





あたしは涙を流していた。


嬉しい訳でも
悲しい訳でもなかった。




相応しい言葉が見つからない…



−共鳴


そう。共鳴。



痛みにも似た爆音。
優しい声。




自遊人の音楽は
世界で1番美しい雑音。



そんな感じだった。




あたしは初めて音楽を聴いて泣いた。





< 33 / 235 >

この作品をシェア

pagetop