あ い の う た <実話>
『え…なんで知ってンの?』



寺山尚はニマニマしてる。



『ひみちゅ〜〜』



…むかつく。




あたしはあからさまに嫌な顔をした。



『わーんっ怒らないでよぉ〜俺の友達がねこの前の[自遊人]のライブでゆなちん見たってゆってたからさ!まじだったのねー♪』



うちの学校にもライブ行ってる人いたんだ…


…なんかやだ。



『あっそ。用はその目撃報告だけ?』
あたしはわざと話が広がらないような言い方をした。





『ノンノンノン!』
首を横に振る。
立てた人差し指も横に振る。


オーバーリアクション…




『CD貸して!自遊人の!』



『なんでよ?』



『聴きたいのー!』


『その友達に貸してもらいなよ』



『やーだー!あいつ金取るもん!』



『あたしも取るよ笑』



『嘘だ!ゆなちんは俺に優しいから!』



『いや、優しくしないから笑』




『おねがい…』
上目使いで見つめてくる。




不覚にもかちょっと可愛いと思ってしまった…




負け。


あたしは明日持ってくると尚に約束した。






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