あ い の う た <実話>
−放課後



誰もいない教室で
あたしは日誌を書いていた。

同じく今日、日直のはずの男はどうやら逃げたらしい。





『ゆーなーちょ♪』
尚が教室に入ってくる。


『あ。まだ帰んないの〜?』



『んー友達が部活終わんの待ってる系〜。』

尚はワックスでくしゃくしゃにしてある髪をいじりながら話す。





『暇つぶしに来たの?』


『そのとーり!』
尚は笑いながらあたしの前の席に腰かけた。





『いいね〜こっちの方の席〜。』



『…そうかな?けっこ-さみし-かもよ?』





『いやあ…あっこはさぁ〜』



尚は自分の席を指差す…





『…意外とつかれるよ?笑』



そう言った尚の顔が普段とちょっとだけ違っててあたしは少しドキっとした。





『尚さ、運ないよね?』




『そ!俺ほんと運ないの〜!』




尚はケラケラ笑った。






< 73 / 235 >

この作品をシェア

pagetop