あ い の う た <実話>
吹奏楽部の練習音だけが響く教室…。



『ねー俺ゆなちんに聞きたいことある…』


『…なに?』



『ゆなちん俺に嘘つかなかったあ?』



……嘘?


嘘なんかつきすぎててわかんない。



あたしは正直に答えた。




『ついたんじゃない?あたしが言ったことほとんど嘘だって思ってくれていーよ?笑』




『えぇ〜全部うそなの〜!?笑』



尚は笑って、
それから黙って、
少し真剣な顔をした。





『俺、ゆなちんが好きなのは絶対1stアルバムだと思うけど。』




『ふぇ?』




『自遊人のCD!1番新しいのが好きって言ったじゃん!』




『…言ったけど。』


確かに…
嘘ついたっけ…。




『俺何回も聴いたの!…けど絶対1stの方がいい!』





『別に…どっちでもよくない? あたしと尚が同じのすきとは限らないじゃん』




『どっちでもよくなーい!』





『確かに嘘…ついた、かも。』




『やっぱり!』




『でも…なんでわかったの?』
あたしは尋ねる。




『俺がゆなと違うの好きになるはずないじゃん♪』

尚はニヤっと笑った。




『なにそれ笑 きもっ』



ほんとよくわかんない。



こいつ。




でも…



あたしの事
ちゃんと理解してくれてるみたいで、




嬉しかった。





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