溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


国分議員はわけのわからないことを言いながら、店員さんにお願いされて服の代金を払いに接客スペースへと移っていった。

そういえば、この服レンタルなのか?

いや、こんなブランドショップでレンタルなんてありえないだろう。

もしやこの、テカテカしてるのにやけに肌触りが良いドレスは……絹製!?

代金を考えて真っ青になった私に、新城さんが言う。


「大丈夫だって。あいつ、バカだけど金は持ってるだろうから。おごらせとけ」


え、ええ……いいのかなあ。


「休日出勤代だと思えばいいんじゃない?」


それにしては高すぎるような気もするんだけど。

無駄に強気に出てしまったぶん、今更お礼も言いにくい。


「ちょっとくらい触らせてあげるべきでしたか……」

「「それはない」」


二人の先輩SPが声をそろえた。


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