溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「いや、あまりに綺麗だからムラっとしてさ。警護中じゃなければ、さらってどこか二人きりになれるところに連れ込むんだけど」
「な、な、何を……」
そんなところに連れ込まれたら、何をされるかわかったものじゃない。
「うん、その気持ちはわかります。けど新城さん、思いとどまってくれたんですね。尊敬します」
大西さん……尊敬するところじゃないですよ。
例え私が抵抗しなくても、仕事を放ってどこかに逃げようとしたりしたら、私は一瞬で新城さんを軽蔑したことだろう。
「離れろ、SP!一ノ瀬ちゃんは俺のパートナーなんだ!」
国分議員が私に手をのばす。
どうやら腕をつかみたいみたいだけど、それは嫌。
さっと避けると、すかっと宙をつかんだ国分議員が目をぱちくりさせた。
「気安く触らないでください。私はSPです。こんな格好ですが、パートナーではなくSPとして同伴させていただきます」
「そんなあ……」
「ご不満なら、ドレスではなくスーツを用意してください。そして、同伴は他の女性にお願いしてください」
「い、いいよいいよ……そんなデレない一ノ瀬ちゃんの冷風がクセになりそうだよ……」