青蒼の夜半に、闇色の鳥を
第二章 … 継ぐ者の惑い

・1・

 ひらひらと。


 もとは鮮やかに染め上げられていたであろう布の幌が、無数に並んだ軒に垂れ下がっている。

 いまは日に褪せて、蒼も紅も黄色も同じ、くすんだ茶色。

 そんな簡素な店先には、目にも彩な極彩色の果実が並ぶ。
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