もう君がいない

繋がる想い



みんなが寝静まった部屋。


真っ暗な中、周りから聞こえてくる寝息。



修学旅行2日目の夜は、

1日中の自由行動で遊び疲れたのか、夜ふかしすることなく、みんなすぐに寝てしまった。


さっきまでヒソヒソ話してた隣の美雪も、いつしか寝息を立てていた。



でも、なんだか私は一向に寝付けなかった。


そして、この自分だけ起きている状況に、私はふと思い出した。



春に行った、親睦を深めるためのキャンプ。


あの時も私だけ寝付けず、星を見に行った。


そしたらそこに蓮もいて、、



もしかしたら、蓮もまた、、



そう思った私は、音を立てないように、静かに部屋を出た。


廊下に出ると、見回りの先生がいないかと少し緊張しながら、

まるで泥棒かのように、そーっと気配を消して歩く。



私は、迷うことなく、旅館の中庭に出た。


ここが、一番静かに星を見れるはず。

そう思ったから。


そして、昼間に見つけていた、この中庭の端に置いてあったベンチ。


そこに向かって足を進めると、



「蓮、」


やっぱり、そこには蓮がいた。


ベンチに座って、ぼーっと空を見上げていた。


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