もう君がいない
「茉菜、自分を責めなくていいんだよ。人間の気持ちは、そんな簡単に白黒つけられないんだって。」
「でも、やっぱりそんなのだめだよ。」
「茉菜?まだそうと決まったわけじゃないじゃん。宮下君のことは確かに好きだから付き合ってるけど、蓮君への気持ちが恋愛感情だとは限らないでしょ?」
「え?」
「だって、誰だってそんな状況なら、蓮君のこと気になったっておかしくないよ。それだけ好きで、それだけ茉菜にとって大切だったってこと。数年振りに会って、何も感じない方が無理だよ。」
「そう、なの?」
私は間違ってないの?
私の気持ちは、おかしいことじゃない?
この気持ちは、好きとは違う?
「蓮君は帰ってきたばっかりだよ?茉菜もまだ混乱して当然。その混乱の中で、慌てて答え出すのはよくないよ。」
「でも、、」
「今はまだ、様子を見よう?茉菜の気持ちが、本当に蓮君を好きだからなのか、蓮君への罪悪感や懐かしさからなのか。」
「それでいいのかな?」
「大丈夫。焦らずじっくり考えよ?茉菜には私がついてるんだから。一人で悩み込むのはなし!」
「うん。ありがと。」
美雪に間違ってなんかないって言ってもらえて、少しは気持ちが楽になった。
でも、だからってこのままではいけない。
ちゃんと、考えなきゃ。
ちゃんと、答え出さなきゃ。
自分の心なんだから、自分にしかわからない。