もう君がいない


「茉菜、自分を責めなくていいんだよ。人間の気持ちは、そんな簡単に白黒つけられないんだって。」


「でも、やっぱりそんなのだめだよ。」


「茉菜?まだそうと決まったわけじゃないじゃん。宮下君のことは確かに好きだから付き合ってるけど、蓮君への気持ちが恋愛感情だとは限らないでしょ?」


「え?」


「だって、誰だってそんな状況なら、蓮君のこと気になったっておかしくないよ。それだけ好きで、それだけ茉菜にとって大切だったってこと。数年振りに会って、何も感じない方が無理だよ。」


「そう、なの?」


私は間違ってないの?

私の気持ちは、おかしいことじゃない?

この気持ちは、好きとは違う?



「蓮君は帰ってきたばっかりだよ?茉菜もまだ混乱して当然。その混乱の中で、慌てて答え出すのはよくないよ。」


「でも、、」


「今はまだ、様子を見よう?茉菜の気持ちが、本当に蓮君を好きだからなのか、蓮君への罪悪感や懐かしさからなのか。」


「それでいいのかな?」


「大丈夫。焦らずじっくり考えよ?茉菜には私がついてるんだから。一人で悩み込むのはなし!」


「うん。ありがと。」


美雪に間違ってなんかないって言ってもらえて、少しは気持ちが楽になった。


でも、だからってこのままではいけない。


ちゃんと、考えなきゃ。

ちゃんと、答え出さなきゃ。


自分の心なんだから、自分にしかわからない。


< 49 / 448 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop