もう君がいない


「ねぇ、光貴?」


「ん?なに?」


「蓮も、光貴達と一緒に山登りしたの?」


「え、蓮?ああ、それが出発する直前にさ、俺はやっぱいいやって言って、一人だけ来なかったんだよ。」



やっぱり、、


「どこにいるかわかる?」


「たぶんロッジとかじゃねぇかな?他に行くとこもないし。でも何だよ、蓮がどうかしたのか?」


「あっ、ううん!何でもないよ!ありがと、じゃあまた後でね!」


私は、慌てて電話を切った。



蓮、、。

蓮は、きっといま辛い思いしてる。

一人ぼっちで、ロッジで苦しい思いしてる。


昔からそうだった。


学校の休み時間や体育の時間、元気に走りまわる他の男子に、一人だけ取り残されてた蓮。

放課後に帰りながら、部活動をしてるのを、うらやましそうに眺めていた蓮。

休みの日、一人だけサッカーや野球に誘われることなく、ほとんどを家で過ごしていた蓮。


蓮は、いつも悲しそうだった。


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