魔法使いの一日
――――…………?
いつまでたっても痛みも何も感じない。
不思議に思いそおっと目を開けてみると、目の前にはナイフの先端を向けたまま俯き動かないアルベルト君。
すると突然クスリ…と笑い、顔をあげ私の顔……ではなく、私の後ろにある扉に目を向けた。
「でも、魔法使いが異世界の人間…つまり人間を傷つけるのは禁止され、それを破れば重刑に処される」
突然そんな事をつらつらと述べ始めた。
そしてゆっくりと顔をあげ、扉を真っすぐに見つめる。
「だろ?」
バンッ!
後ろのドアが勢い良く開く音がする。
「はぁ…はぁ…っ、そうだ」
聞こえてきたきた声に思わず目を見開らいた。相変わらず動かない体のせいで姿は確認できないけど、誰だかははっきり分かった。
「ソラ!!」
「やっと見つけた…のやろ、扉だけじゃなく、魔力を隠すために二重に結界を張りやがって……」
ソラの様子からして、かなり苦労したんだということがよく分かった。
そんなソラに、アルベルト君はフッと笑い腕を組む。
「でもよく見つけられたね、アレ結構魔力を練って強力なものにしたのに。反逆者にはもったいない力だな。それに、何だそのソラって名前。いつからそんな安っぽい名前になったわけ?」
やっ…安っぽい!!?
確かにその場の思い付きで決めた名前だけど、安っぽいとか失礼だな!!
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