魔法使いの一日

「分かってた」


ポツリと、アルベルト君の口からそんな言葉が呟かれた。


「分かってたんだ、シュリルの残りの命も、あいつが自分から進んでやった事も……お前が悪いわけじゃない事も…最初から、全部…」


じゃあ、何で…なんて、私の口からは言えなかった。


「だけど…悔しいじゃないか！　知ってるのに何も出来ない、俺には、妹一人救ってやれる力もない…逆に助けてあげるときたもんだ……妹にそんなこと言われるなんて、兄としての威厳丸つぶれだな…ハハッ」


アルベルト君は自嘲するかのように笑った。


そんなアルベルト君を見て、胸の奥がズキリと痛んだ。
分かっているのに何も出来ない…そんなのただのいい訳だ、と言われてしまえばそれまでだけど、世の中には自分が思ってる通りに事が行かないことが、アルベルト君を見てると痛いほど分かってしまい、何だか私まで悔しくなってきてしまった。それでも……


「シュリルさんは…そんなの望んでなかったんじゃないかな」

「え？」


それにアルベルト君が顔を上げ、私の顔を見る。






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