甘いペットは男と化す
 
頭では、記憶なんかもう思い出さなくてもいいと思っているのに、神様は俺へと意地悪なチャンスばかり与えた。


アカリと一緒に街に出て、
嬉しいことに自分の服を買ってくれると言う。

いらない、と断ったけど、やっぱりいつも同じ服でいることには多少なりとも抵抗はあって
いつか必ずこのお返しはしようと決めながら、アカリの行為に甘えることにした。


無事に買い物が終わって、あとは家に帰るというとき。


まるで俺を引き留めるかのように、一つのシルエットが目に飛び込んだ。


四つ葉のクローバー。


よく見ると、そこは個人経営をしているような小さなカフェ。
自然と足がゆっくりになってしまったことに、アカリも俺の異変に気付いた。

アカリの提案で、中に入ることにしたけど、俺の鼓動は速まるばかり。


確実に身に覚えがある内装。

正確には分からないけど、俺は確かに、ここに何度も足を運んでいた。



そして……


あの席に座っていた。
 
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