甘いペットは男と化す
目に留まったのは、半個室となっている奥の席。
ここからだと、半分しかテーブルは見えないのに、どんな内装だとか頭の中に浮かべられる。
そしてもちろん、ここに来ていたのは俺一人でではなくて……。
考えれば考えるほど、頭が痛くなった。
まるで思い出そうとしていることを拒むかのように、ズキズキと頭痛が俺を襲う。
ふと目の前の、不安そうに俺の顔を見つめるアカリに気づいて、冷めきってしまった紅茶をすすった。
「そろそろ帰ろうっか」
これ以上、ここにいると、どんどんアカリを不安にさせてしまっていることに気が付いて、この店を出なくちゃと思った。
なぜだか分からないけど
さっきまで記憶を取り戻させようとしていたはずのアカリが
今は戻りかけそうな俺に、不安を抱いているのが感じ取れたから……。
お願いだからそんな顔をしないで。
今の俺が好きなのは、アカリだから……。
だからたとえ、記憶が戻ったとしても
アカリを見捨てるようなことは絶対にしない。
「アカリ、キスしたい」
「ダ……」
拒もうとするアカリなんか押さえつけて
俺は無我夢中で自分の気持ちをアカリに押し付けた。