甘いペットは男と化す
「あ…かり……?」
玄関先にいるあたしに気づいた淳史が、目を大きく見開いて固まっている。
ああ、もう。
あの表情を見ただけで分かる……。
あたしはニコリと微笑むと、目の前の彼女に向かって口を開いた。
「あなたは淳史さんの……?」
「え?彼女…ですけど」
何も分かってない彼女は、首を小さく傾げて答えている。
後ろでは、「あちゃー」と言った顔をしている淳史。
彼女……。
そっか……。
あたしも彼女なんだけど。
思いきり叫んでしまおうかと思ったけど、なんだかそれも虚しくなって喉まで出かかったそれを飲み込んだ。
目の前にいる彼女は、あたしよりもずっと若くて……
もともと持っている容姿も、女子力だって高い。
きっと淳史にとっては、あたしのほうが二番目の存在になっている。
だから……
「すみません。急にお邪魔して……。
旧友なんですけど、ちょっと近くまで来たから寄っただけです。
淳史。バイバイ」
「朱里っ……」
小さな声で、確かに呼ばれたあたしの名前。
だけどそれには気づかないふりをして、ドアをこっちから閉めた。