甘いペットは男と化す
 
「今の北島さんの様子からすると、あとに出逢った人とはうまくいってないってことだよね。
 じゃあ、今が北島さんを支えるチャンスってことじゃん」

「え…っと……」

「俺、結構前からずっと北島さんのこと、見てたんだけど」

「……」


あまりにも突然の告白すぎて、何をどう返事したらいいのか分からなかった。


確かに、二人きりの飲みに誘われたことから、矢代さんを異性として意識するために応えたつもりだった。
だけどまさか今日、この場で告白なんてされるとは思っていなくて……。


「ま、返事はもちろん今聞かないよ。
 だけど俺の気持ち、知っててもらいたかったんだ」

「あ……」

「だって北島さんさー。ずっと俺がアタックかけてるのに、いっつも華麗にスルーするし」

「え?」

「誘おうとしても、それすらも許しません。的な感じに隙がねぇの」


唇を尖らせながら、そんな文句を言っている。

全く身に覚えのないこと。
だけど確かに、言われてみれば矢代さんは、決まって外出帰りにあたしに話しかけにきていた気がする……。


「だからもう、北島さんの顔色伺ってアタックするのやめる。
 これからはガンガン押すから」

「……」


「覚悟しといて」と一言付け足した矢代さんに、もうどう返事をしたらいいのかも分からなくなっていた。
 
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